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道央

エルム楽器千歳支店 ピアノ調律師  阿部 都さん

さまざまな音の色、心に響かせたい

1983年生まれ、札幌市出身。2005年に静岡県の専門学校を卒業し調律師に。4年間の東京都での生活を経て、エルム楽器に入社、千歳支店に配属となる。2013年には、作家の宮下奈都さんが調律師を主人公とした「羊と鋼の森」を執筆する際、取材を受け、巻末の謝辞に名前が記された。

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きっかけ
 5歳からピアノを習い始めました。年に1回調律師が来てくれたのですが、作業風景が印象的で、調律後の音もとても好きでした。「こんな仕事があるんだ」と心に残りました。高校卒業後は、子どものころに印象に残った調律師になりたくて、専門学校に通いました。4年ほど東京の楽器店に勤めましたが、やっぱりふるさとが良くて北海道で仕事を、と思っていたところ、縁があってエルム楽器千歳支店で勤務することになりました。ある程度の経験は積みましたが、思ったような音色を表現するために毎日が勉強です。
苦労
 調律は、経験で得ることのできる技術に加え、音の「センス」が求められます。弦をたたくハンマーは羊毛を固めたフェルトでできていますが、使用するうちに硬くなっていきます。このフェルトに針を刺すことによって、弾力を取り戻し、幅広い音が出るようになります。でも、針を刺す作業のやり方は、調律師によって異なります。音を合わせることは基本です。ピアノの個性を活かし、弾く方が望む音を出すためには、センスが問われます。センスを磨き高めるためにはどうしたら良いのか。作業以外の時も、頭の中で求める音を探しています。
満足度
 最近では、住宅事情もあるのか、アコースティックピアノよりも電子ピアノを選ぶ方が増えているのかもしれません。でも、音のなめらかさや豊かさ、深さではアコースティックが優れています。おばあちゃんからお孫さんに引き継がれたピアノを調律することもあります。お客様によって音の好みは違います。ピアノによっても出る音の彩(いろどり)は異なります。お客様と会話しながら、一番良い音を調律し、「いい音だね」「弾きやすくなったよ」と満足していただけたときは、充実感があふれます。
これから
 調律師になって10年が経ちました。「音」が好きなのでこの道を選んだことに迷いはありません。音の表現は無限にあります。その無限の中で、私が調律した「音」に弾いた方や聞いた方がわくわくしてくれるように、人間としての幅を広げる必要があると思っています。これから結婚や出産を経験すれば、センスを磨き、高めることにつながるのかな、と考える時もあります。理想は、例えば「ろうそくの火を見ると、私の音が思い浮かぶ」、といったように「目に見える音」を表現することですね。
  • 阿部 都さんイメージ1
  • 阿部 都さんイメージ2
    エルム楽器千歳支店のスタッフ

北の☆女性たちへのメッセージ

調律師に男女の差はないと思います。あるのは「個性」ですね。音の世界は奥深く、10年経っても「高み」はまだ彼方です。でも、自分だけの音を作ることができる楽しさと、それが実現し、喜んでもらえたときの満足感は格別です。音を「奏でる」調律師の世界に、ぜひあなたも。

取材年月日:
2016年3月9日