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十勝

有限会社コスモス 代表取締役 安藤 登美子 さん【清水町】

命に無駄な命はない。すべては牛のために、人のために

1955年生まれ、清水町出身。帯広の高校卒業後、清水町役場勤務。1978年に結婚。87年に夫の賢治さんが有限会社コスモスを設立。生まれた子牛を2~3ケ月育てる「育成農家」と、出荷まで肥育する「肥育農家」の一貫牧場。従業員の半数が女性。長男夫婦は帯広市在住。

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きっかけ
  高校を卒業後、清水町役場に勤務。結婚後は、帯広市内で喫茶店を経営するなど、サービス業に関心がありました。乳用牛ホルスタインの雄を肉用牛として普及させる仕事をしていた夫(JA職員)が、1987年に肉用牛の肥育を主眼に(有)コスモスファームを創設。私は、国道沿いに開設したレストラン「風車」や道東初のローソン店の開設・経営に携わるなどしてましたが、3年後に夫が事故で他界し、借金と牛だけが残されました。肉牛経営が厳しさを増す中、資金繰りに奔走する毎日。2003年、牧場経営に身を投じる覚悟を固め、現場に入ることに。
苦労
  毎日、頭の中は資金繰りのことばかり。会社創立の翌年に素牛を80頭導入しましたが、高価な素牛を導入・肥育しても、肉牛として利益を確保できるか否かは未知数です。経営を続けるためには、更なる投資が恒常的に必要。「お店を売ってでも牧場を続けます」と宣言し、離農を予想する融資元を驚かすことも。「やる気は人一倍ある。やる気は担保にならないのですか」と膝詰め談判も度々。その後は「肉牛生産組合」の仲間と共に、お互いに歯を食いしばって、励まし合いながら今日まできました。
満足度
  現場に入り、はじめて「自分は牛好きなんだ」と気づきました。普通はスクスクと育つ健康な子牛を選びますが、ファームでは、未熟な子牛や生まれつき病弱な子牛も受け入れているため、数日しか生きられないことも。そんな子牛に「ミルクは飲んでいるか」「病気はしていないか」など、寄り添いながら、目を掛け、手を掛け、次の日の朝、「ちゃんと立ってる!」と歓喜することも。50年前までは、乳用牛として価値のない雄牛は「廃棄物」でしたが、肉用牛としてその命を無駄にすることがなくなり、夫の夢が少しづつ「現実」になってきました。
これから
  2014年に、管内の肉牛牧場として初めて「農場HACCP」の認証を取得。翌年には、ブラウンスイス牛の「無塩せきコンビーフ」が「北のハイグレード食品+2015」を受賞するなど、ファームの新たな取組が始まっています。他方で、現在は「牛バブル」の時代。雌雄判別の技術も進み、牛自体が集めづらくなっているため、黒毛和牛の繁殖に力を入れていきます。そして、4年前から経営に参画し、力量を発揮している長男にバトンタッチし、私は牛に寄り添いながら、帯広にいる3人の孫との時間を作りたいですね。
  • 安藤さんイメージ1
  • 安藤さんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

   高校時代は陸上部。毎年、新たな目標を掲げ、己には厳しかった分、他人には優しく接することができます。一人では何もできませんが、様々な個性の人達がお互いの長所を尊重し、協調する気持ちが何よりも大切。夢を叶えるのは、「やる気」だと思います。

取材年月日:
2018年1月10日