34

道北

餅cafe&stay わが家 経営  堂脇 聖美 さん【豊富町】

豊富町への感謝が原動力。親子湯治をサポートしたい

1974年生まれ、旭川市出身。幼い頃からアトピー性皮膚炎を患い、2009年に湯治治療で豊富町に移住。2011年に自宅兼店舗「餅cafe&stay わが家」を開業。移住仲間で「豊富温泉もりあげ隊」を作り、活動中。

印刷用PDF

きっかけ
 生まれた頃から20数年以上、アトピー性皮膚炎を患い、出産後の30歳前半で、最も重篤な状態になりました。「服を身に着けることすら辛い」。そんな中で、1歳半の子どもも発症。以前、偶然訪れ、私の病状に効果のあった豊富温泉に親子で移住を決めました。「生きるために行くしかない」。選択肢はありませんでした。乳飲み子と二人、豊富町でアパートを借り、湯治生活を始め、3か月程で二人の症状が回復しました。それを機に「湯治に訪れる方をサポートしたい」と、カフェを始めたのがきっかけです。
苦労
 自分が出来ることを、できる範囲でやってきました。店舗は、2年前に他界した実父と二人で“日曜大工”レベルのやり方で手を加えたもので、いわゆる開業資金は10数万円でした。湯治客だけではなく、地元の方にも来ていただきたいと思っていましたが、そうなるまでは開業から一年はかかりました。今の私のベースは、あくまでも子育てです。子どもの発熱や冬の雪かき、まき割りなど、日常の雑務が増えると休業することもありますが、そこは無理をせず、自分のペースで進めています。
満足度
 今、取り組んでいることは、私が6年前に豊富町に来た頃に「あったらいいな」と思っていたことです。カフェの運営で、長期湯治に来ている方だけではなく、地域との繋がりも増えました、2015年3月には、「長期療養者の負担を軽くできれば」と女性専用シェアハウスを始めました。移住当時からは全く想像できない姿です。夢は、親子湯治の全面サポートと、湯治に来る子どものホームステイ受け入れです。施設の整備や人的問題などはありますが、夢の実現まで50パーセントぐらいの地点まで来ているのかもしれません。
これから
 豊富町のように、こんなに人に感謝されている町はありません。感謝の度合いも「命を救われた」というレベルの深いものです。この町で普通の生活と人生を取り戻しました。私のように、幼い頃から皮膚疾患で苦しむ子どもを、早い段階で救ってあげたい。そうすることで、子どもたちの人生は大きく変わります。シェアハウス滞在者や地元には、専門スキルを持っている方が数多くいます。「わが家」が、その方たちの活動拠点となり、療養者の豊富町への移住、自立支援の足掛かりになればと思っています。

北の☆女性たちへのメッセージ

「生きることは繋ぐこと」。そう思って活動しています。人は、存在しているだけで生命を受け継ぎ、いのちを繋いでいます。人それぞれの歩幅があり、感じ方があり、幸せがあります。頑張りすぎず、そのままの自分で出来ることがたくさんある、そう実感しながら日々歩んでいます。

取材年月日:
平成27年11月9日