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道央

NPO法人女性サポートAsyl 事務局長 波田地 利子 さん 【札幌市】

ありのままを意味のあるものとして受け入れよう…

1990年、札幌市出身。2014年3月、北海道大学文学部卒業。同年4月、NPO法人ホームレス支援北海道ネットワークに入職。2016年4月、分社化によりNPO法人女性サポートAsyl(あじーる)に転籍、事務局長に就任。

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きっかけ
 明るく人付き合いができないと後ろ暗い思いをする、生きづらさを感じながら、「適応的でない自分でも、生きていける可能性ってないかなあ。」と思ったところ、ホームレス支援の学生サークル「北海道の労働と福祉を考える会」に出会いました。それまでの私の周りの学生は、所与の社会環境について問うよりも、その環境のなかで自分がどう力をつけて生き残るかで頭がいっぱいで、生きづらさについて話し合えるような友人は、正直あまりいませんでした。就職活動が捗らずに悩んでいたとき、ホームレス支援団体で職員を募集しているがどうか、と声をかけられ、迷いなく引き受けました。
苦労
 シェルターに来る方は、誰ひとりもれなく、苦労を抱えておられます。ご自身の苦労というよりかは本来、他者の苦労なのですが。幻覚や幻聴による被害妄想に悩まされているひと、どうしても他者を信じられず非難せずにいられないひと、等々…一体、どうしたら彼女達の抱えるものと付き合い、苦労の荷下ろしを手伝うことができるのだろうか?と日々考え、消耗する時があります。私あるいは団体としての力量がまだ足りない?ゴツゴツと衝突してしまったり、彼女達の苦労の重みが耐えきれず、向き合うことが辛い時などがあります。
満足度
 ホームレスや生活困窮者支援の世界には様々な先達が存在します。彼らの共通項目は、どんなに訳のわからない現実・悲惨な出来事・不条理も、ユーモアで包み込むという知恵。そして彼らにとってホームレス支援はあくまでひとつのトリガー、他にも様々な社会問題や路上に生きる個人、あるいは身近な物事について、角度を変えたり、引き寄せたり、俯瞰したり、息を吐くように見える世界を解釈し、現実に手を入れていこうとしています。私が仕事で、目の前の現実との向き合い方の工夫を考えている中で、とりわけ嬉しいのは、同じ団体の仲間と一緒に考えることができる、その時間です。
これから
 私がこの活動をスタートするとき、「人間、かくあるべし」を押し付けることなく、ありのままを意味のあるものとして受け入れようと苦心し支援を続ける方々に巡り会いました。そして、どんな場面であっても必ずユーモアを忘れません。あ、この人たちは人間が好きなんだなぁと感じました。その時感じた感覚を忘れず、ー人ひとりの経験や苦労を共有していく場所として、「あじーる」を育てていけたらと。そして、「あじーる」がこの生きづらさベースの社会の抜け穴になり、だんだんと穴が拡がっていってほしい、と考えております。
  • 波田地さんイメージ1
  • 波田地さんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

辛くて息もできない方、今、僅かでも息を吸える場所を何より大切に守り、その場所を少しづつ拡げていきましょう。私達団体は皆の経験を集合知とし、他の方にお貸しできる知恵へ転化する取組を行っています。あなたの経験は同じような思いをされている方を導く地図です。ぜひ力を貸して下さい。

取材年月日:
2017年2月21日