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道央

美術家、びょういんあーとぷろじぇくと 代表 日野間 尋子 さん 【札幌市】

生命力を引き出すようなアートの力を信じて

1962年生まれ、旭川市出身。学生時代から画家を志していたが、短大卒業後は札幌市内の一般企業に就職。公募展に出品したり個展をする等、制作と活動は続け、1999年に退職しドイツ、オーストリアのギャラリーと契約。2006年から活動拠点を国内とし、2008年「びょういんあーとぷろじぇくと」を設立。

※写真:日野間さん(右から3人目)とびょういんあーとぷろじぇくとの皆さん

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きっかけ
 オーストリアのアートフェスティバルに参加した時、仲間から「病院で展覧会をやっているから見てみない?」と誘われ、行った病院のロビーがギャラリーのようになっており、衝撃を受けました!まるで病院ではないかのよう・・・こんなことが日本でもできたら素敵だなぁと思いました。その後、活動拠点を日本に戻し、偶然訪れた富良野市内の障がい者施設で利用者さんの美術創作支援をすることになりました。札幌ライラック病院でも創作支援をしようと試みましたが難しく、創作が無理なら絵を飾ってみては?と考え、友人と「びょういんあーとぷろじぇくと」を立ち上げました。
苦労
 最初は、医療の場でアートが必要であると感じてくれる病院が少なかったです。また、外部のものを病院に持ち込むことで、衛生面や病気の感染源にならないかという懸念もありました。しかし、アートには手術や薬など医学的なことの他に、数値化できないようなものに効果があると感じています。また、人間の生きる力、生き方、生命のことを必死で考えるということは、医療とアートの共通点であると考えています。展覧会の回数を重ねるうちに、医療関係者の理解も得られるようになりました。
満足度
 満足度は、自分たちで測れるものではなく、展覧会を見ていただいた患者さんが得られるもの、感じていただけるものだと思っています。しかし、患者さんに「明日からまたがんばろうと思えた」「少し希望を感じた」と言っていただけると素直に嬉しく、また次も開催したいという活力になります。作品を提供するアーティストからも、「活動の幅が広がった」「自分の作品に奥行きができた」との感想をいただいています。富良野市内の障がい者施設で利用者さんが創作した作品を展示し、それを報告すると利用者さんも喜んでくれて、社会貢献活動になっているのかな、と感じています。
これから
 アートの導入を希望する病院も増えてきており、その希望にどのように応えていけるのか、アートを求めている方々に対してどのように提供していけるのか、考えながら活動していかなければならないと感じています。例えば小児科では親子で参加できる創作体験の提供など、患者さんと伴走していけるような活動をしていきたいです。患者さんの健康と心に寄り添うような活動を続け、医療機関の理解も得て、病院の中でアートを大事にしてくれることが増えれば良いなと思っています。札幌市以外の病院でも「びょういんあーと」をやってみたいですね!
  • 日野間さんイメージ1
  • 日野間さんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

自分の好きなこと、大切なこと、そして、やりたいことは何かと、自分に問いかけてみたら・・・忘れてしまっていたことや心の何処かにしまっておいたことなど、思い浮かんでくることがあるのではないでしょうか。そのことに、心を込めて、一歩一歩、踏み出してみる。信念をもって。自然体で。

取材年月日:
2017年3月7日