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道東

釧路町鳥獣被害対策実施隊員 猪瀬 恵美子 さん【釧路町】

農作物を守るため、地域で信頼されるハンターに

1953年生まれ、釧路町出身。釧路市内で会社員、団体職員を経て1989年に実家の農業を継ぎ釧路町で就農。43歳で狩猟免許を取得。翌年、町の有害鳥獣駆除員(現:鳥獣被害対策実施隊員)となる。町内のハンター16名のうち、女性は猪瀬さん一人。

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きっかけ
 36歳の時に家業を継ぎ、農業者となりました。当時、うちはブロッコリーや大根などを作っていましたが、現在のように鹿よけの電気柵が普及していなかったため、鹿による被害を多く受けていました。父は、農作物の被害を減らすために狩猟免許を取得しており、父が活動する様子を見て、私もハンターになろうと決意しました。そして、43歳の時に狩猟免許を取得。翌年からは町の有害鳥獣駆除員(現:鳥獣被害対策実施隊員)をしています。2015年には、わな猟免許を取得し、町で唯一の資格者として活動しています。
苦労
 駆除は年間を通じて行いますが、釧路町の今年度の狩猟は10月から3月までが可猟期間となっています。今は、鹿よけの電気柵が多く普及したので農作物の被害はかなり減っていますが、電気柵をしていない家庭菜園で畑を囲っている網に鹿がかかることが多く、駆除しています。山の斜面など条件の悪い場所で鹿を倒すこともあり、回収が一番大変です。鹿は1体130~150kgはあり、これを女性一人の力で運ぶのは本当に苦労しますね。わな猟の際にも、わなを扱う時にかなり力が必要で、体に無理がかかって痛めてしまい、何度か手術しています。
満足度
 自分の畑を守るだけでなく、地域の方々の役に立ちたいと考え、町のハンターになったので、皆さんの要請を受けて対応できることが一番嬉しいです。近所の方々は、私がハンターであることを知っているので、鹿が網にかかった時には町に連絡するよりもまず、私に直接連絡が来ます。対応が早いことが一番重要ですから、近所の方々に好評いただいています。狩猟には、生物多様性の保全のための原則があり、人間と野生動物が共存する方法の一つでもあります。その使命と動物福祉の理念を持ち、今日も山を走ります。
これから
 倒した鹿は処理して食肉にできますが、町内に処理施設がないので、自分でさばいて近所に分けるなどしています。近隣では、釧路市阿寒町や白糠町に処理施設がありますが、できれば近くに処理施設ができてほしい。今は、自分で処理しきれないことも多いので、皮も含めて、もっと鹿を有効活用できるようになればいいなと思っています。ハンターは、住民の生活圏の中での活動なので、緊張感を持って、感謝の気持ちを忘れずに活動しています。また、ハンターとしての自覚を常に保ち、責任感を持って活動を続けていきたいです。
  • 猪瀬さんイメージ1
  • 猪瀬さんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

常に謙虚な気持ちで行動することで、頑張らなくても結果がついてくると思います。体力面など男女で差が出ることもあるので、そこはお互い支え合い、頑張りすぎないこと。楽しむことが一番です。経験豊富な方々と積極的にコミュニケーションを取り、知識を吸収しましょう。

取材年月日:
2017年10月26日