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オホーツク

株式会社菅野養蜂場 取締役  菅野 菊枝 さん【訓子府町】

感動と情熱に導かれ、国産天然はちみつの普及に全力!

1956年生まれ、東京都台東区浅草出身。大学卒業後、豊島区駒込の病院で管理栄養士として勤務。26歳の時に、株式会社菅野養蜂場の3代目である夫と結婚し、訓子府町へ。町の教育委員を12年間務め、地元小学校で、みつばちの生態や採蜜技術まで授業の一環として教える食育活動にも従事。

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きっかけ
 実家は、東京都台東区浅草で卸問屋を営んでいましたが、跡継ぎの兄が数年間、鹿児島の養蜂場に弟子入りし、そこの数年兄弟子に夫が居ました。それが縁で、26歳の時、菅野養蜂場3代目の夫と結婚。訓子府町に来ました。小売を始めたのは、平成3年から。蜂蜜は、父の代(2代目)まで100パーセント問屋卸しで、そこで安価な輸入品を混ぜ、市場で売られていました。夫婦ともに、その売り方に疑問を感じ、輸入品を混ぜずに自分たちで売る小売へと転換しました。はちみつ好きの方々の間で、ようやく定着してきた感じです。
苦労
 菅野養蜂場は、蜜源花を追って移動する転地養蜂家です。現在は、1月から5月中旬まで静岡県伊豆市修善寺、岐阜県大垣市を巡り、5月下旬にようやく拠点の訓子府町へ戻るという生活です。子どもの手が離れるまでの17年間、冬の間、夫は本州へ単身赴任し、私が訓子府町で子育てと両親の世話をしていましたが、冬に男手がないのは生活面でとても厳しいものでした。1991年に小売へ転換しましたが、始めた当初は、夫と地元の商店から一般家庭まで一戸一戸販売して回り、軌道に乗るまで5~6年掛かり、1998年頃までは設備投資の借金返済に追われる日々でした。
満足度
 夫の蜂蜜採取の技術と姿勢、ミツバチに対する愛情には100パーセントの信頼を持っています。私たちの蜂蜜は、無農薬地帯での採蜜とミツバチに抗生物質を与えないことで、250種類の農薬や抗生物質が一切検出されない高品質を誇っています。自然に恵まれた北海道の蜂蜜の品質は高く、特に、菩提樹(シナノキ)からとれる蜂蜜は日本一と確信していますが、知名度はあまり高くありません。この菩提樹から採れる蜂蜜の素晴らしさを、広く知らせていきたい。それが、私たちの今後の課題です。
これから
 人類最古のお酒とも言われ、「ハニームーン」としてヨーロッパで親しまれているハチミツ酒〝ミード〟を、菩提樹蜜で作ろうと考え、北海道初の〝菩提樹のミード〟を2014年に誕生させました。まさに私たちの思いが詰まった結晶です。国産ミードの製造も広がりつつあります。ミード文化が日本にも根付くように、北海道から発信していきたいですね。4代目の後継者も決まり、ともに今後も北海道養蜂の発展に全力を尽くしたいと考えています。
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北の☆女性たちへのメッセージ

養蜂という仕事、ミツバチの素晴らしさ、北海道の雄大な自然。全てが感動、感動の連続でした。生活面で大変なこともありましたが、それよりも北海道の蜂蜜やみつばちの素晴らしい世界を多くの方に理解してほしい。その想いが大変さを上回っています。女性たちには、自分の抱いた思いを忘れず大切にし、まい進してほしい、そう思っています。

取材年月日:
2015年11月6日