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道南

かあちゃん食堂たまりば 店主  小梅 洋子 さん【江差町】

自然体の応対でご近所との和、お客と境目がないお店に

1942年生まれ、上ノ国町出身。結婚して江差町へ。夫の酒屋を手伝いながら、義母と一緒に暮らしてきた。特技は江差追分。2009年に江差追分熟年全国大会で優勝するほど。2012年から愛宕町内会の会長に就任し、2015年7月からは町議会議員も務める。

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きっかけ
 長く民生委員をやっていて、テレビで老人の孤独死を聞くたびに、ご近所の方が顔を合わせる食堂のような、自然と見守りができる環境があればいいなぁと思っていました。江差町も1人暮らしの高齢者が増えたなと思っていた頃、北海道が町会所で開いた女性起業塾に参加し、開店する決心がつきました。1人では何もできないけど、まず1人が動いてみないと何も始まりません。複雑な手続きや融資の仕方も親切に教えてもらい、皆さんに手助けされて、2005年にお店を開きました。
苦労
 最初はご近所さんが数人来てくれたら、と始めましたが段々と人が増えてきました。ありがたいことですが、以前なら、お客さんがゆったりと畳に寝転んでくつろげる感じでした。もう少しゆっくりとした時間を過ごしてもらえるお店にしたいですね。始めた頃はお茶を飲む場所くらいの考えでしたが、「自宅では食事の支度が大変」と聞いて、それなら1日だけでも、と思って食事に力を入れました。「来週は何にしよう」と考えても、皆さんからの差し入れが多くて、考えた通りの献立になったことがありません(笑)。みんなで作っている食堂ですね。
満足度
 おかげさまで笑顔が絶えず、にぎやかな店になりました。見知らぬ方同士が話したり、隣の方にお茶をついだりと。お店に言葉が途切れる時間はなくて、聞いているだけで、ご近所の色んなことが分かります。家に1人でいるとテレビが世界のニュースを伝えてくれますが、お向かいのことまでは分かりません。十分なおもてなしはできませんが、この食堂に来ると「ほっとする」と皆さん言ってくれます。ありがたいですね。週1日の開店ですが、お客様からは「今日はちょっとおしゃれして店に」と思っていただければ、気持ちの張りが違いますね。
これから
 70歳を超え、お年寄りの気持ちも分かる年代になりました。これからも理解できることが、まだまだたくさんあると思うと楽しいですね。無理をしたら続かないですし、大儀(面倒)だと思ったらお店もできません。自分たちが楽しいからできることです。年老いて子どもの元に引き取られても帰ってくる方も多くて、できるだけ住み慣れた所に住むのが一番だと思います。そんな場所を守っていきたい。だから、いつまでも元気でいたいと思います。皆さんのおかげでいつもおなかいっぱい笑って暮らしているので、毎年どんどん元気になっています。
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北の☆女性たちへのメッセージ

やってやるぞと気負うことよりも、自分が一番楽しいことを笑ってやることが一番ではないでしょうか。楽しいことしかやらないのではなく、何をするにも楽しいことにしちゃう。嫌なことも楽しいことにするいい加減さ、いいあんばいが継続のこつ。自然のままに笑って生きましょう。

取材年月日:
2015年12月16日