40

オホーツク

合同会社大地のりんご 代表 道山 マミ さん【網走市】

T−1グランプリチャンピオンが地元意識を変える

1969年生まれ、千葉県出身。1992年東京農業大学オホーツクキャンパスを卒業し、百貨店で販売業を経験。2011年に製造・販売を中心とした「合同会社大地のりんご」を網走市で立ち上げ、代表に就く。

印刷用PDF

きっかけ
 大学生の頃、農業は汚い・苦しい・危険の3K産業と言われていました。でも日本の農業を大切にしたいと卒業後もずっと思っていました。東京で働き、結婚し、子育て中だった30代後半のある時、大学の恩師から「農業支援のベンチャー企業を網走市で立ち上げないか」と声がかかりました。夫と相談し、2人の子どもを連れて網走市に戻ることを決断しました。当時の網走市は原料があっても農産物の加工施設がない、施設があってもノウハウがない、という状況でした。生産者と加工業者を繋ぐ中間支援を、と思い立ち上げました。
苦労
 女性は結婚や子育てで仕事が制限されますよね。仕事を始めてからは、子どもを優先していないと自分を責め、家庭を暗くしてしまう時もありました。家事も仕事も、すべて自分でやろうとすると苦しくなります。「大地のりんご」では、昼の3時間だけ働ける主婦の方をパートで雇っています。同じ勤務体制の人を組み合わせれば1人分になります。60代以上の高齢者でもすごく手際がいい。やれることは実はたくさんあります。できる、できないというのは実は工夫次第。活躍の場を提供したいと思っています。
満足度
 会社立ち上げ後、山わさびの規格外品活用の相談があり、農家の話を聞き回っている時、山わさびの粕漬に出会いました。今の家庭では作られなくなり、失われつつある食文化です。多くの農家からレシピを集め、原料、設備から知恵まで、地域の方から多くの協力をいただき完成させました。それが漬物日本一を決める「T-1グランプリ」で初代グランプリに輝いた「ガツンと辛い山わさび粕漬け」。みんなが「うん」って納得できるものにするには時間と苦労がかかりますが、同時にやりがいも感じます。
これから
 グランプリ獲得後、環境はがらっと変わりました。全国の方が認めてくれたことで、「こんな手作りの田舎の味、誰も食べないよ」と思っていた地元の方々の意識が変わりました。地域の可能性をできないづくしであきらめるのではなく、人がつながることで可能性が広がることに気付いたんです。情報をつなぐこと、それが「大地のりんご」の役目と考えます。販売に特化した「オホーツクテロワールドゥ」も立ち上げました。寒冷地のオホーツクは農薬の散布が少なくて済むことが特徴です。冷凍の有機野菜シリーズを生産者と連携し、販路を広げる仕組みにチャレンジしています!
  • msg_detail_ph06_01

北の☆女性たちへのメッセージ

40、50歳でも新たに取り組めることはたくさんあります。つくりだす喜びはものづくりに限りません。インターネットの普及で多くのことが勉強できるし、まだまだ活躍できる場がある。そういう学ぶチャンスを女性もあきらめずにつかんでほしいです。がんばろうね!

取材年月日:
2015年11月17日