101

道東

森髙牧場 森髙 裕子 さん 【厚岸町】

おいしい牛乳の味が感じられるチーズを届けたい

厚岸町出身。札幌市内の短大卒業後、実家の商店を手伝っていた。20歳の時、幼なじみの夫と再会。東京都内で働いていた夫が厚岸町に戻り、実家の牧場を継いで結婚、専業主婦に。難病だった長女の介護に専念していたが、長女が亡くなった後にチーズづくりを始めた。

印刷用PDF

きっかけ
 長女が、出生の時に脳性麻痺となり、常時介護が必要な状態でした。24歳で他界するまで、私がずっと付き添って介護していました。長女が亡くなった後、発作のように突然激しい嘔吐に襲われるようになり、色々な病院に行きましたが原因は不明で、外に出られずにいました。そんな時、夫に「チーズづくりをやってみないか」と勧められました。長男が牧場を継いでソフトクリームを販売していたので、ソフトクリーム小屋の後ろにチーズ工房を作りました。1年間の研修を経て、2005年からチーズの製造、販売を始めました。チーズづくりを始めてから、体調はすっかり良くなりました!
苦労
 うちは、戦後の栄養不足の時代に、夫の祖父が「おいしい牛乳を届けたい」という思いで始めた牧場です。この自慢の牛乳の味と香りが感じられるチーズを作りたいと思って、ゴーダチーズ1種類だけをつくっています。余計なものをなるべく排除して、牛乳の風味がする納得のいくチーズをつくるために日々奮闘しています。チーズは、つくってから3か月から4か月熟成してやっと味が決まります。すぐに結果が出ないので、つくるのは本当に難しい。チーズは生き物ですから、つくっている時は毎日神経を使っていますね。
満足度
 心を込めてつくったチーズを、このように販売できることに感謝しています。色々な方からアドバイスをいただき、たくさんのお客様に買っていただいて、チーズを味わっていただけることが、幸せだなあと感じますね。うちのチーズは、子どもからお年寄りまで誰にでもおいしいと感じてもらえるように、塩分は控えめにして、チーズ独特の香りもなるべく出さないようにつくっています。牛乳の風味を生かしているので、お客様からは「ミルクの味が濃い」と言っていただくこともあります。特に子どもたち、ミルクで育ったお乳のプロに「おいしい」と言ってもらえると本当に嬉しいですね。
これから
 2016年の連続台風の時、長雨のせいで牛を牛舎から牧草地に出すことができず、牛乳の出来があまり良くありませんでした。牛乳が良くないと、チーズの出来も良くなかったんです。牛乳もチーズも、自然に密着して、風に当たり、日に当たりながらつくるものです。今後は、天候不良でも対応できるチーズのつくり方を考えていきたいですね。チーズづくりは、長女が導いてくれた道なのではないかと感じています。これからも、うちの牛乳とチーズを「おいしい」と喜んでいただける方のところへお届けできるよう、がんばっていきたいです。
  • 森髙さんイメージ1
  • 森髙さんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

小さなまちで昔から大切に利用されてきたものが、今の時代は「赤字だから」「合理的でないから」と切り捨てられてしまうことがあります。こういう時、男性の考えだけでなく、女性の柔軟で新しい発想も取り入れて、ピンチを乗り切ることができるのではないでしょうか。

取材年月日:
2017年1月26日