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道南

NPO法人スプリングボードユニティ21 理事長  折谷 久美子 さん【函館市】

地元愛に満ちたまちづくり活動でおもてなし

1959年生まれ、函館市出身。小学6年から生け花を習い、お茶、着付けなどの資格を持つ。函館遺愛女子高時代には、山岳部のリーダーを経験。1987年に結婚。夫の泉さんが仲間と楽しそうに活動をしている姿から、まちづくりに目覚める。

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折谷さん
きっかけ
 市民、特に女性が気軽にまちづくりに参加できる会があればと1999年に函館港まつりのいか踊りに総勢100人で出場したのが始まりです。会の名称は、目標に向かって進むきっかけとなる跳び箱の跳躍板「スプリングボード」、さまざまな人や団体がまとまる「ユニティ」に、次世代を表す「21」を付けました。年々仲間は増えましたが、寄付に頼っていた活動費は減るばかり。そんな転換期に花をテーマにしたシンポジウムを実施、行政の目にとまり、2004年から国道5号函館新道沿線で春から秋はお花、冬はキャンドルの灯りでおもてなしをしています。
苦労
 国道沿いでの活動なので、大勢の目に留まります。当初春から秋までの5か月、きれいな状態を維持できるかが、とても不安でした。水やりや肥料散布、雑草取り…。1日や2日で終わらず「花をきれいに咲かせる前に人間の方が枯れてしまう」との声も耳にし、会議を開きました。農家の方からビニール製の素材で土を覆う「マルチシート」を提案され、試してみると効果てきめん。それからは困ったことに直面した時、意見を出し合い議論しています。「まずはやってみよう」の精神で実践し、無理なく維持できる体制が整いました。懐かしい思い出です。
満足度 
 皆さんの笑顔に会えるのがうれしくて、活動するたびに元気をいただいています。函館新道や道道函館空港線の植栽活動、冬の夜を手づくりキャンドルで彩る「シーニックdeナイト」など、さまざまな方との出会いが新たな活動のきっかけにもなりました。今では毎年6月の花植えには800人ほどが参加し、焼きそばが振る舞われるなどまるでお祭りのようです。花は景色を明るくするだけでなく、見る方にも世話をする方にも笑顔を届け、癒してくれることを学びました。花がもたらしてくれた“ご縁”を大切に、心の中にも花を咲かし続けていきたいです。
これから
 毎年、沿線の小中高校生が参加してくれる函館新道の活動は12年目です。1回目に参加した小学1年生は、高校3年生になり、進学や就職で地元を離れている方も大勢いると思います。帰省したとき、花いっぱいの風景を見て、「ああ、まだ続いているな」と懐かしい気持ちになってくれたり、みんなで踊ったいか踊りや、牛乳パックを転がしてキャンドルを作ったことなど、仲間との思い出を、このまちで作り続けたい。そして「函館っていいまちだなぁ」と思ってくれる方が1人でも多く増えてくれることを期待しながら、地域一体で活動します。
  • 折谷 久美子さんイメージ1
  • 折谷 久美子さんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

厳しい冬を体験し、乗り越えるからこそ、春の訪れを待ち遠しく、ありがたく感じるのだと思います。頑張った先には、みんなの笑顔が待っています。北に住む女性の芯の強さとしなやかさを持って、楽しく元気に活動が続くよう力を合わせていきたいですね。

取材年月日:
2016年1月30日