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道央

工芸作家 関根 真紀 さん 【平取町】

作品でたくさんの人たちが喜びや幸せを感じてくれたら

1967年生まれ、平取町出身。一度は地元を離れるも、民芸店を営む両親の元にUターンし、工芸作家の道へ。平取町アイヌ文化情報センター内の二風谷工芸館で、作家の立場でアイヌ工芸品を紹介。

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きっかけ
 中学卒業後、かっこいい職業にあこがれ、一度は地元を離れましたが、民芸店を営む両親の元にUターンしました。民芸店を手伝い、いろいろな人と出会ううちに、もともと接客が好きだった私は、アイヌ文化のすばらしさを次世代につなげたい、そして、二風谷の民芸店がどんどん減っていく中で、アイヌの伝統工芸を守っていかなければならないと思うようになり、十代で木彫を始めました。祖父母も工芸をやっていたので、すんなりと工芸の道に入ることができました。こうなる運命だったのですね。
苦労
 親戚から言われた「時代が変われば、文様も変わるもんだな」との言葉で、すらすら描けていた文様が描けなくなったスランプの時期がありました。そんな時、友人に「あなたが新しい文様を作っていかなければ、時代が止まってしまう」という言葉をもらってから、自信を持って好きなことをしようと思うようになりました。土台があってこそ新しいことにチャレンジすることが大切ですから、アイヌ伝統工芸にこだわりを持ち、古いデザインを大切に、ベースに残して新しいデザインをするよう心掛けています。
満足度
 アイヌ文化が色濃く残るこの町にいると、自分が強くなれます。兵庫県出身の夫と結婚し、子育ての中で自分をもう一度見直すきっかけとなりましたし、彼がいるから頑張れると思っています。とにかく伸び伸びとやらせてもらっていることに感謝しています。2013年3月、「二風谷イタ」(盆)と「二風谷アットゥ」(樹皮から作った糸で織った反物)が、道内で初めて経済産業省の「伝統的工芸品」に指定されたことが追い風になり、注文が増えていることが日々の向上心につながり、新しい作品づくりにも取り組めています。
これから
 今後もシサ(良き隣人)と共に、アイヌ文化を守り、アイヌ工芸のすばらしさを伝える活動をしていきたいです。広報や発信が私の役割だと思っています。また、子ども目線で、未来の子ども達のことを考えられる大人でいたいですね。現在、遊びながらアイヌ語を学ぶことができる、子ども向けのアイヌ語教室をやっていて、アイヌ語話者を育てていくことも目標です。さらに、アイヌ文化を育んだ豊かな自然と「びらとりトマト」や「びらとり和牛」などの食に恵まれた平取町に、ぜひ多くの人が訪れてほしいと思っています。
  • 関根さんイメージ1
  • 関根さんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

これからの時代、女性一人でも生きてはいけますが、所詮人間は弱い生き物ですから、女として強く生きていかなくても良いのです。周りの支えがあって伸び伸びできます。支えてくれる、やりたいことを理解してくれるパートナー(私の場合は夫です)がいればもっと楽しく生きられると思います。

取材年月日:
2016年10月7日