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道央

ピンクリボン・ディスカバ 代表  柴田 直美 さん 【滝川市】

「がんは怖くない、早期発見を」経験を元に検診を啓発

1968年生まれ、新十津川町出身。高校卒業後に空知管内で就職し、結婚後に雨竜町を経て滝川市に在住。今は夫、次男(高校生)と暮らす。2007年に自己触診で乳がんを発見。手術後の2008年に、同じ乳がん患者や友人らと市民団体「ピンクリボン・ディスカバ」を設立。現在、会員は滝川市外の方も増えて約30名。

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きっかけ
 私が自分の乳がんを早期発見できたのは、乳がん経験者の知人から「自分で触ったらわかるよ」と教えてもらい、入浴時に毎日触診していたからです。乳房にコリッとしたしこりがあったのですが、手を離したらわからなくなって、翌日も触ってみたけどわからなくて、翌々日に触ってみたらまたしこりがあって、私すごく健康だったので、これはきっと悪い物だと直感しました。それで、乳がんのことを色々調べて10年生存率」というのが出ていて、この先の10年で自分にできることは何かと考えた時、やっぱり人の役に立ちたいと思って、病院に行く前から団体設立の構想を練っていました(笑)。そして、手術の半年後に、私の1年前に乳がんの経験をした友人と一緒に、団体を立ち上げました。
苦労
 前向きな性格なので、あまり苦労と感じたことはなくて(笑)。手術の傷も勲章だと思っていますから、手術後すぐに温泉にも行きました。でも、相談者の方から「傷跡が恥ずかしくて温泉に行けない」という話を聞き、これは何とかしたいと思って、傷を隠す入浴着を製作している会社(東京都)の社長に会いに行ってサンプルをもらい、空知管内の温泉施設に配置してもらうことができました。その後、道議会議員の方などの協力もあり、全道の温泉施設に配置してもらいました。温泉施設側からは、「外国人観光客がタオルを湯船に入れたり、水着で入る人がいたりして対応に困る場合がある」という話を聞くこともありますが、傷跡が気になる方はぜひ入浴着を使って、温泉を楽しんでほしいと思います。
満足度
 活動の中で、空知管内で開催される各種イベントの会場にブースを設置させてもらい、がんの早期発見と治療の啓発を行っていますが、そこで「検診に行ってきたよ」と声をかけてもらえることが、一番嬉しいです。また、講演の講師をする時には、がんになったからこそわかることってありますよね、という「キャンサーズギフト(がんからの贈り物)」の話をさせていただくのですが、そこで「気持ちが軽くなった」と言っていただけることも励みになります。普通の主婦だった私がこんなふうに活動できるのは、がんになったからです。どんなことにも感謝して、周囲の皆さんに助けてもらいながら、楽しんでやっています。
これから
 砂川市立病院と深川市立病院で、がんサロンのピアサポーター(同じような立場の仲間への支援)をしていますが、そこで感じるのは、がん治療の地域格差です。札幌市周辺だけでなく、どの地域でも的確な治療を受けられ、安心して暮らせるようにしていきたいです。あと、「がん教育」を推進したいです。病気と闘いながら懸命に生きている患者さんの姿を、子どもたちにも見てもらいたい。子どもの時からがんの正しい知識を学べば、将来検診にも行くでしょうし、自分や家族ががんになった時に落ち着いて対応できると思います。今、空知管内ではがん教育を始めている市町村もあるので、これから増やしていきたいですね。
  • 柴田さんイメージ1
  • 柴田さんイメージ2

北の☆女性たちへのメッセージ

がんは、2人に1人は発病すると言われています。自分や家族が発病したとき、正しい知識があれば怖くありません。病気が終わりではなく、そこから色々なことに気づくことができ、一歩踏み出す勇気が出て、充実した日々を送れるようになります。早期発見のために、まず検診を!

 

取材年月日:
2016年7月20日