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道央

日高女性軽種馬ネットワーク(馬女ネット) 前会長  高村 洋子 さん【様似町】

軽種馬産業の復興へ、女性もどんどん前へ

1951年生まれ、旧・静内町(現・新ひだか町)出身。高校卒業後、日高信用金庫に就職。24歳で同じ歳の伸一さんと結婚し、高村牧場へ。馬女ネットの基になった「名牝クラブ」を49歳の時に立ち上げる。牧場の生産馬は、JRA重賞を4勝したガルボなど活躍馬多数。

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きっかけ
 1999年に、日高東部地区の牧場の女性で「名牝クラブ」というのを作りました。「女は黙って作業だけしていれば」という時代ではない、牧場の妻たちも馬というものに対する知識と技術を学ばなければ牧場経営は成り立っていかないと思ったんですね。発足後、他の地域で同じような考えを持つ方から「日高全域でもやってほしい」という声があがって、10年後の2009年に馬女(まじょ)ネットを立ち上げました。軽種馬産業の女性参画社会を目指して、ファーストペンギン(リスクを恐れず飛び込む開拓者)としてのスタートです。
苦労
 苦労はすごくありました。当初から親睦ではなく学習団体という位置付け。「女が前に出ると牧場の衰退になる」とか、先輩女性から「名牝クラブに入るのならお宅の牧場のことはもう面倒をみない」とか。そのために入会できなかった方もいました。自分の行く道は間違っていないと思っていても、当時は結果が出ていないからどう言われても仕方がなかった。一方で、軽種馬産業界の指導的立場にいる男性の方々が非常に応援してくれました。支えてくれる方々がいて、迷わずに進むことができました。
満足度
 馬女ネット会員は現在約30人。20代の入会もあり、今は私が最高齢。馬の躰(からだ)の仕組み、日々の飼養管理、繁殖牝馬管理、生まれた仔馬にどう関わるか、セリ市場に向けての馴致(じゅんち)、また経理の勉強もします。牧場視察では、大手牧場のやり方を余すことなくみんな質問します。近年、若い方々の意識も育ち、高度な勉強も要求されるようになりました。もうみんなが一緒に前を向いている。会長を6年務めたので、昨年、バトンを酒井和子さんに引き継ぎました。
これから
 イギリスやフランス、アメリカではゼネラルマネージャーのほとんどは女性が担っています。女性が自信を持って馬と接し、育てた馬を他国から来た方々にアピールしている。私は40歳からサラブレッドに乗り、調教もしました。経営経理の担当もしています。今では女性騎乗員も増え、経理の勉強会では開くたびに参加者が増えています。馬女ネットが今後も女性参画の“ステップ・アップ・アカデミー”として、長く存在することが私の望みです。
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北の☆女性たちへのメッセージ

ためらわずに自分の一歩を踏み出しましょう!女性にとって今は社会が追い風になっているのでチャンスです。夢に対して否定形で始まる大人の意見が多いですが、私は「気持ちがあるなら顔を上げて自ら動く!」、そう言ってあげられるファーストペンギンだと思っています。

取材年月日:
2016年1月12日