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道北

株式会社フプの森 代表取締役  田邊 真理恵 さん【下川町】

リアルに森のある生活を伝えたい

1976年生まれ、千歳市出身。北大経済学部卒。札幌市で、花屋、WEB販売の会社勤務を経て、2007年に下川町に移住。2012年に下川町森林組合のトドマツ精油事業を、移管されていたNPO法人から引き継ぎ、株式会社化。2015年末に新ブランド「NALUQ(ナルーク)」をリリースした。

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きっかけ
 大学時代から、森林関係の仕事に憧れていましたが、「きこり」か「研究者」しか知りませんでした。二十代後半になり本格的に動き始め、森や環境保全に関係する展示会などに行って企業や団体の方に話を聞いて回り、企業にはメールを出し、とっかかりを探しました。下川町が森林の先進地区だと知ったのは、東京都のNGOの方から聞いたからです。早速、下川町森林組合を見学して、一ファンとして応援しようと思っていましたが、精油事業担当者が辞めるのをきっかけに下川町に移住し、私が担当者になりました。
苦労
 地方で何かいい素材があっても、それを事業として継続するのは「難しいことだなぁ」と考えています。素材はいいモノだけど、需要が多いものではありませんので、どうやって事業を展開していくか、常にみんなで考えています。会社にしたのは、シンプルに製品を製造する体制でコンセプトを明確にしたかったからです。現在の事務所や蒸留施設は、森林組合時代から使っていたものをそのまま使わせてもらっています。恵まれていますが、独立し頼れる本体組織がなくなった分、資金面でのやりくりも頑張らなきゃいけないと思っています。
満足度
 森に関する仕事に就けたという点では、満足度100パーセントです。本当は、工房ももっと山の中にありたいですし、会社としてもまだまだ道半ばですから、株式会社フプの森の満足度は60パーセント位でしょうか。山の中では製品づくりだけでなく、おもてなしも出来たらなと思います。私たちは創業時から、商品を作るだけでなく、森の手入れをどうやっているのか、森を身近に感じる生活とはどういうものなのかを伝えたいという使命感から始まっています。そういう面での発信力もつけていきたいですね。
これから
 「リアルに森のある生活を伝えたい」と思っています。今は、林業と多くの方の生活は分断されていて、森林の保全やそれに携わっている方々の姿があまり見えません。もっと気軽に森に行けたり、森から生まれたモノが身近に感じられるよう、頑張りたいです。一昨年、自分たちで1.5ヘクタールの山を買いました。ここをフィールドにして、蒸留体験などを行うことを考えています。将来的には、商品を見てもらえるような小屋を作ったり、森の中での活動を増やしたいですね。新ブランド「NALUQ(ナルーク)は、より多くの方に広がればと期待しています。
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北の☆女性たちへのメッセージ

やりたいことがあるなら、その中に飛び込んでみるのが一番。まずは動いてみることです。怖がらないで声を掛けてみるというのが、とっかかりになります。一回で掴もうとせずに、辿っていけば誰かが教えてくれますよ。

取材年月日:
2016年1月12日