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道央

医療法人社団同行会 理事長(児童精神科医・精神科医) 八十川 真里子さん

共に助けあい生きていく一員として

1977年生まれ、福岡県福岡市出身。静岡県の浜松医科大卒業後、同県浜松市内の病院で精神科医として勤務し、「寒がりですが、30年間雪かきする覚悟で」浦河町移住を決意。2015年10月、うらかわエマオ診療所を開業。長女7歳、長男3歳の2児の母。

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きっかけ
 精神障がいを抱えた方々の活動拠点「べてるの家」を知って、浦河町に興味を持ちました。当時勤務する静岡県浜松市の精神病院では、50年間入院したままという方も大勢いました。でも、浦河町では病気が治っていないのに、町の中で生活しているらしいと。2004年に1週間、べてるの家を見学して「これだ」と思いました。内科医の夫が浦河赤十字病院での勤務が決まり、ようやく2011年に移住。私は2人目を出産し、その子が1歳になってから、べてるの家の非常勤職員になりました。その後、1年弱ほど浜松市に戻り児童精神科について勉強し、開業の準備を進めました。
苦労
 児童精神科を開業するなら、大学の先輩もいる浜松市でと思っていました。でも、浦河町の教会学校で校長をして、家庭環境で苦労している子やハンディキャップを持った子たちと触れ合う中で、この子たちとの関係が大事になり、もっと本格的に取り組みたいと思うようになりました。診療所に先立ち2015年5月に開設した放課後等デイサービスの「からし種」は送迎の範囲が広く、その費用が持ち出しになっています。ケースワーカー(精神保健福祉士)など有資格者の採用で、都会から浦河町に来てもらうのも一苦労です。
満足度
 日本の精神医療は入院偏重、薬物偏重と言われています。べてるの家では、当事者たちが自分の生き方を決め、医師や看護師などの有資格者は介入しすぎず、応援する形です。医者も患者も一緒に生きていく仲間として、地域に受け入れられていることを実感しています。なぜ浦河町でうまくいっているのか十分解明できていなくて、他の地域に“輸出”できていません。今も研究しているところです。生活面では食べ物が全ておいしく、豊かな自然の恵みの中で、のびのびと子育てできることに満足しています。
これから
 札幌市の児童精神科は初診まで平均6か月待ちなので、江別市の方からも予約をいただいています。医師としてより多くの子どもを治療して幸せにしてあげたいけれど、そのために自分の子どもを犠牲にできません。浦河町にはない24時間365日の訪問看護ステーションを立ち上げるなど、やりたいことはたくさんありますが、常に子どもがいることを前提に仕事を組み立てています。50歳になってからの10年間で、自分のやりたい仕事に打ち込めればいいかなと、今は考えています。
  • 八十川 真里子さんさんイメージ1
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北の☆女性たちへのメッセージ

知的障がいや発達障がいの専門と思われがちですが、夜泣きやかんしゃく、夜尿症といった悩みについて相談に乗るのも児童精神科医の役割です。子育てで困ったことがあったら、気軽に聞きに来てよ!

取材年月日:
2016年2月15日